宣教協力の経緯と展望
1. 宣教協力の要件遷移
「世の中から求められているもの、世の中に役立つものは何か」を捉える一方、「主に喜ばれ人に喜ばれることは何か」を捉え、福音伝道と社会的責任の両 面を担い支える宣教協力という包括的アプローチを開拓して行くことが求められている。
1) 1960年代~2010年
- 国際協力による社会インフラ整備が65年(1954~2019)にわたり拡大されてきた過 程で、ODA/NGOや事業体CSR/NPOは、被造物ケアに向けた社会変革・未来貢献につながる共通価値創造(CreatingSharedValue)に挑戦してきた。復興・再生による ケアと牽引の包括的アプローチは、東京オリンピック(1964~2020)を通し、日本オリジナルのおもてなしとして広報外交PublicDiplomacyが展開されている。
- ローザンヌ世界宣教会議第3回LCWE3(2010)や日本伝道会議第5回JCE5(2009)~JCE6(2016)を契機に、被造物ケアおnに向けたビジネス宣教協力(Task)を担うディ アスポラ宣教協力(Resource)の文脈と共創事例が提示される中、9.11/3.11以降「NGO/事業体CSR/NPO/宣教団体/教会による地域・業際の受け皿ネットワーク連携 による包括的アプローチ」が加速されている。LCWE3では、同時期開催のCOP10(BioDiversity)を支える宣教協力が日本代表より言及され、祈祷連携が拡大された。
- 欧米亜にわたる日本語教会の会員構成は、駐在員家族主体から国際人・国際ファミリー主体に変遷される中、マルチリンガルの教会・宣教活動を中心に取り組まれている。 ディアスポラ宣教協力は帰国者フォローアップからグローカルな国際人ネットワークにより社会インフラ整備を通した国際協力を担い支える宣教協力へ変遷されつつある。
2010年代~2020/2030年代
- 国連UNの持続可能な開発目標MDGs+SDGs(2000~2015~2030)に向け、 LCWE3(2010)~LCWE4(2020s)やJCE6(2016)~JCE7(2023)~JCE8(2030)のロードマップにおいて、隣人チーム(Islam/Hindu/Buddhistなど)やロボットと の共存・協働・共創による国際協力を担い支える宣教協力が加速されている。
- ローザンヌ運動LMと世界福音同盟WEAの共催による「被造物ケアと福音」の東アジア地域会議LWCCN/EAC(17.07.24-28台湾・新竹)や絆フェスティバル(16.02.20,18.02.24 プノンペン)参画を通し、CreationCareinAsiaの対象領域拡大〔環境保全、地域包括ケア(在宅医療)、和解による再生、アンチテロリズムに加え、AIとシンギュラリティ、Society5.0 や宇宙開発の未来共創〕とLCWE4(2020s)に向けたIssue(37ヶ)の集約アプローチが日本から提示され、開拓が広げられつつある。
2. 内外宣教協力イベント:参加から参画(企画推進や分科会講師担当)へ、つながり強化
- LCWE1(1974Lausanne),LCWE2(1989Manila),LCWE3(2010,CapeTown)
- JCE1(1974京都),JCE2(1982京都),JCE3(1991塩原),JCE4(2000沖縄), JCE5(2009札幌),JCE6(2016神戸),JCE7(2023名古屋)
- ANRC(2009,2010,2012),ANRCOpenForum(2016,2017,2018)
- アジア宣教フォーラム(2010HK,2012Seoul,2014Singapore,2016Tokyo)
- アジア日本語教会ファミリーキャンプ(2011Bali,2013Seoul,2015Singapore)
3. ポストLWCCN/EACの内外宣教協力イベント
- ローザンヌ・ビジョンリトリート(17.08.21-22箱根):在日フィリピン教会協議会JCPC とローカル教会のパートナーシップ、LWCCNの展開〔欧州地域会議(17.09.10-14Nice 郊外〕におけるパラリンピック支援、YLG(2016)~LCWE4(2020s)への展開など
- JEA宣教フォーラム(17.09.25-26神戸):JCE6から1年後、16プロジェクトの予実績 とテーマ「Re-VISION」に向けた包括的な宣教協力に向けた個別・関連進捗状況報告
- ANRCOpenForum4(17.10.07OCC402):被造物ケアと国際協力60年
- ANRC/OF5(18.02.03OCC402):被造物ケアに向けた宣教協力の包括的アプローチ
- ANRC/OF6(18.10.06OCC402):AI・シンギュラリティーやSociety5.0と宣教協力
- ANRC/OF7(19.02.06OCC402):Tokyo2020におけるアジア宣教協力
4. 内外宣教協力トピックス
- 阪神・淡路大震災(1995.01.17Mj7.3)から派生された国際防災研修センター(DRLC)やア ジア防災センター(ADRC)が整備され、世界の次世代育成に貢献している。東日本大震災 (2011.03.11Mw9.0)を経て、復興・再生への日本の対応は強化され加速された。
- 東京オリンピック(1964.10.10~10.24)期間中の1964.10.16に、中国は核実験を実施したこと、ミュンヘンオリンピック(1972.08.26~09.11)期間中の1972.09.05に、パ レスチナ武装組織「黒い九月」がイスラエルのアスリート11名を殺害したことは、アメリカ同時多発テロ事件(2001.09.11)などと共に悲しい歴史的事件となった。一方、東京 オリンピックの準備過程において、マザーテレサの故郷スコピエは、地震(1963.07.26M6.1)によりAD518以来の壊滅に遭遇した。日本のサポートグループ〔丹下健三 (1913-2005)、他〕は復興の都市計画を担当し貢献した。Tokyo2020では、福島原発の安全性確保を含む復興・再背と未来産業の進展がアピールされる。
- スマトラ沖地震〔2004.12.26M9.1,2009.09.30Mw7.5/2012.04.11M8.6〕、メキシコ地震(2017.09.08M8.1)、台湾地震(2017.02.06花蓮M6.4, 2016.02.06高雄M6.4)、ハワイ地震(2018.05.04ハワイ島M6.9)と連続する大震災、そして未来に予測される震災対応に向け、復興・再生に向けた社会インフラ整備を通した国際協力、未来産 業の文脈形成と事業開拓を支える宣教協力が求められる。